
文明開化の明治元年を間近に控え世の中が活気づいていた江戸末期。 城下町であった小田原にとってこの波は、願ってもない時勢の到来でした。 近海に水揚げされる生鮮魚に目をつけた初代 杉山兼吉は、小田原城に魚を献上していた友人の伊勢善商店とともに 小田原で初めてのかまぼこ製造業を開始します。

「小田原かまぼこ」が広く知られるようになったのは、伊勢兼初代・杉山兼吉が天保元年に開業後半世紀を経た大正後期からで、 その大きな原動力となったのは、小田原蒲鉾協同組合において伊勢兼二代目・杉山太郎吉が中心となり『かまぼこ』の原料にグチ(イシモチ)を導入した事による。
新原料の導入に伴い製造技術の研鑽も進み、現在の『小田原かまぼこ』特有のふくよかな弾力とまろやかな味がしだいに形成されて参りました。
以来170余年、当時の手造りの精神は、すべてが機械化された今も、いせかねのかまぼこ造りに深くいきづいています。

百七十余年にわたる伝統と『石臼造り』は今もなお健在。こだわりの逸品は、『全国かまぼこ品評会』において、 水産庁長官賞を受賞、以来農林大臣賞10年連続金賞(栄誉大賞)などの名誉ある賞を受賞しております。

昭和五十九年には、東宮御所に蒲鉾を献上させていただける店として選ばれました。 これは全国の業者から4店のみが選ばれるという名誉で、関東は伊勢兼だけが推挙されました。
このことからも、現在まで業界トップクラスの品質を誇れるかまぼこ製造業者としての伝統を受継いでおります。
長きにわたって培われた味と伝統。その一つを支えるのが、選び抜かれた原料。
その新鮮さと安全性は高く、皆さまが安心してお召しあがりいただけるよう
衛生面においても徹底を心がけております。
かまぼこ板はまな板の代わりではなく、天然の防腐剤なのです。昔の旅人が何日も歩いて箱根山を越えた時代に相模湾の美味しい魚を持って行くための先人達の知恵と工夫だったのです。
板は「モミの木」のみを使用しており、素材条件としては、木のヤニが出ない・匂いが無い・正目で節が無い・適度な堅さで水分調整をする等、かまぼこの品質保持に欠くことができない重要なものです。現在もかまぼこ板一枚一枚を専門職人が厳選し、それに合格した板だけが裏に焼印を押されます。
いせかねの製造工場では、工場の地下から汲み上げた天然の地下水のみを使用しています。この天然水は、箱根・丹沢の豊富な天然水が混じりあったもので、天然ミネラル成分をたくさん含んでいます。 魚肉の繊維をつなげ、小田原かまぼこ特有のコシ(弾力)を決める、大事な要素です。いせかねでは創業以来、この天然水を使用しており、1度も枯れたことはありません。
いせかねには5つの「石すりばち」があります。鮮度の良い魚肉を低温で長時間擂り続けるため、鉄やステンレスではなく、外気温の影響を受けにくい「石すりばち」を使用しています。
それぞれ石の種類や滑らかさ、凸凹などが違い、魚の種類・脂のノリ・肌理(きめ)の細かさ・外気温・湿度等、その日その日の魚肉の状態によって使い分けています。
いせかねの商品全てが、この「石すりばち」から生まれます。